難民認定申請手続き~どうしても国籍国に帰れない方の日本在留

 

難民とは、一般に「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」をいいます。

そして、上記のような「難民」と認められるためには、入国管理局で「難民認定申請手続き」を行った上で、難民として認められる必要があります。

参考までに、平成28年度の入国管理局が発表したデータでは、難民認定申請を行った者は10,901人であり,前年に比べ3,315人(約44%)増加しております。
また、難民申請者の国籍は79か国にわたっており,主な国籍は,インドネシア1,829人,ネパール1,451人,フィリピン1,412人,トルコ1,143人,ベトナム1,072人,スリランカ938人,ミャンマー650人,インド470人,カンボジア318人,パキスタン289人となっています。

 

 

難民認定までの流れ

 

では、上記のような難民認定の流れはどのようなものなのでしょうか?

 

具体的には、難民認定までのおおよそのプロセスは次の通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

難民認定申請の問題点

 

①難民認定数は非常に少ない

欧米では一国で毎年数千 人もの人びとが難民として受け入れられている中で、日本での年間難民認定数は、わずか数十人です。

この数からもわかるように、現状の日本は、難民を迅速に適切に審査し、保護する仕組みであるとは言いいがたいです。

さらに、認定を受けた人びとの出身国も一部の国籍(ミャンマー等)に偏っています。

今まで認定を受けた人びとは、ミャンマー国籍者が中心であり、ミャンマーに次いで申請者が多いトルコのクルド民族は、過去に一人も認定を受けたことがありません。

これでは、恣意的 と評価されてもおかしくない運用であるといわれても文句はいえないように思われます。

 

②就労のための偽装難民申請が多い

難民申請をすると、一定期間経過後に「特定活動」の在留資格で、就労が可能になります。そして、難民認定されるまでには1年~2年かかることも少なくないです。

そして、難民認定が不許可になると、不服申立手続きを取ることが可能です。

そこで、この難民認定制度を悪用し、就労目的で難民申請をする偽装難民が急増したため、警察もこのようなコンサルティングを行っていたコンサルタントや偽装難民申請をした外国人を逮捕しました。

これはつまり、就労目的での難民認定申請は犯罪であり、このような申請を行うようアドバイスすると、外国人本人はもとより、支援者も共犯者として逮捕される」ということです。

この点簡単に考えておられる外国人や支援者が多いように感じますので、ご注意ください。

そして、当然、今後このような外国人が増えないよう、入国管理局でも難民認定悪用対策を講じています。

具体的には、下記のようなガイドラインが出ています。

 

「難⺠認定制度の濫⽤・誤⽤的な申請に対する適切な対応」

1.難⺠条約上の迫害理由に明らかに該当しない事情を主張する事案(例えば,「本国の借⾦取りから逃げてきた」,「⽇本で稼働したい」など)や正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返す再申請については,本格的な調査に⼊る前の段階で振り分け,難⺠調査官による事情聴取等申請⼈が⼗分主張を⾏う機会を確保しつつ,迅速に処理を⾏う。

 

2.現在,正規在留中に難⺠認定申請を⾏った場合,⼀定期間経過後⼀律に就労を許可していることが,難⺠認定制度の濫⽤・誤⽤的な申請を誘発している⾯があることから,就労しなくても⽣計維持が可能と判断される者及び正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返す再申請者については,申請に対する判断が⽰されるまでの間,在留は許可するが就労は許可しない。
3.現⾏法上,難⺠認定申請は,内容の如何を問わず何度でも⾏うことができ,最多で6回⽬、11年前から申請を⾏っている者もいるという状況にあることから,難⺠条約上の迫害理由に明らかに該当しない事情を繰り返し主張する再申請者や,正当な理由なく前回と同様の主張を三回以上繰り返す多数回申請者については,難⺠認定⼿続は続⾏するものの,在留は許可しない。
(1) 難⺠認定制度の濫⽤・誤⽤的な申請の迅速処理
(2) 難⺠認定申請中の就労許可の在り⽅の適正化
(3) 特に悪質な濫⽤事案に対する対応
上記(1)-(3)の運⽤について,外部の専⾨家が適正性を確認する仕組みを構築する。

 

1.は真の難民かどうか審査する価値がある内容なのかを事前に振り分け、偽装難民申請であることが明らかな事案については、早急に不許可にする、ということです。

2.は就労目的の疑いが強い者、就労の必要がないと思われる外国人は難民申請をしたとしても就労を認めないことがある、ということです。

3.は明らかに偽装難民申請の疑いが強い申請をしている場合は、在留は許可せず、不法滞在扱いとすることがある、ということです。

以上のように、入国管理局の審査に柔軟性を持たせることによって、就労目的での難民申請を防止しています。

 

さらに、2018年1月15日からは、就労目的での難民申請防止のため、以下のような審査を行うこととしています。

以下が法務省のサイトからの引用です。

 

1 平成29年1月から9月までの難民認定申請の状況
(1)我が国において難民認定申請を行った外国人(以下「申請者」という。)は14,043人(対前年同期比約77%(6,117人)増加)となり,既に平成28年の申請数(10,901人)を大きく上回っています。
主な国籍は,多い順に,フィリピン,ベトナム,スリランカ,インドネシア,ネパールとなっており,シリアをはじめ,世界で避難を余儀なくされている人の多い上位5か国(UNHCR「グローバル・トレンズ2016」による。)からの申請者がわずか29人にとどまる一方,大量の難民・避難民を生じさせるような事情のない国からの申請者が大半を占めています。
(2)難民と認定されなかった申請者の申立て内容のうち,最も多いのは本国における知人や近隣住民等とのトラブル(約44%)であり,そのうち,約66%が借金に関するトラブルとなっています。また,我が国での稼働希望を申し立てるものなどがあり,難民の地位に関する条約及び同議定書(以下「難民条約」という。)で規定する「難民」に明らかに該当しない申立てが全体の約半数となっています。

2 更なる運用の見直し
(1)初回申請では,案件の内容を振り分ける期間を設け,その振分け結果を踏まえて,速やかに在留資格上の措置(在留許可,在留制限,就労許可,就労制限)を執ります。
(2)難民条約上の難民である可能性が高いと思われる申請者には,速やかに就労可能な在留資格を付与し,更なる配慮を行います。
(3)初回申請でも,難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を申し立てる申請者には在留を許可しません(在留制限)。
(4)在留制限をしない場合でも,失踪した技能実習生等本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に申請した申請者には就労を許可せず(就労制限),在留期間も「3月」に短縮します。

 

上記法務省のサイトのポイントをまとめると、以下の通りです。

①本当は難民ではない偽装難民者が難民申請の大半を占めている。

②偽装難民の多くは就労目的である。

③よって、就労目的の偽装難民の可能性が高いかどうかで審査の仕方を変える。

④偽装難民の難民申請は不許可にする。

⑤失踪した技能実習生からの難民申請については就労を許可しない。

 

これにより、今後は(※本当は今までも、ですが)就労目的で難民申請をしても、合法的に日本で働くことはできませんので、ご注意ください。

 

③難民の立証が難しい

難民であることの立証は、入管ではなく、難民認定申請者本人が行う必要があります。

しかしながら、迫害により命の危険を感じて国外に逃れた難民が、自身の証言を十分に裏付けるだけの書類を持って来日するのは容易ではありません。

ですから、難民であるかどうかを適切に判断するためには、調査のための時間も必要ですし、国際法や難民の出身国に関する高い専門知識も、要求されます。

したがって、素人が簡単にできる手続きではありません。

 

 

 

難民認定支援サービス

以上のように、難民認定は非常に難しい申請です。また、制度上も数々の問題点を抱えている制度でもあります。

また、就労目的での偽装難民も多く、当然のことながら、このような方を支援することはできません。

しかしながら、政治的迫害等、本当に国籍国に帰れない理由がある場合は、人道上、日本への在留を認める必要が高い場合が存在するのもまた事実です。

そこで、当事務所は、難民認定申請手続きでお困りの方のため、入国管理局への難民認定申請手続を支援いたします。

当事務所は、ご本人の事情を詳しくお聞きしたうえで難民認定を受けられる可能性がある場合、難民認定申請書の作成を代行するほか、入管への出頭に同行いたします(但し、一般の在留資格申請手続と異なり、本人の代わりに入管へ出頭することはできません)。

難民認定申請でお困りの方は、難民認定を受けられる可能性があるか初回相談でチェックいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

難民認定申請手続サポート業務の流れ

 

1.まずは当事務所へご相談ください。

電話:06-6375-2313(平日10時~18時)

※相談は「完全予約制」です。「私の場合に難民認定申請は可能か?」等のお電話のみでの個別ケースでの詳細な相談はお受けできませんのでご了承ください。

2.当事務所にお越しいただき、申請をされる外国人の方について、詳しくお話を伺い、難民認定申請手続についてご説明いたします。

(※相談費用は5400円・30分となります。無料相談は行っておりませんが、業務ご依頼の場合、相談費用は業務報酬に組み入れますので、相談費用は実質無料となります。)

3.申請後の流れおよび認定されなかった場合のリスクについて、お客様が納得されたうえでご依頼いただいた場合には、着手金をお支払いいただいたうえで必要書類を提示させていただきます。
(振込先等)
・ご依頼をいただいた際にお知らせいたします。

 

(必要書類)
・現在の生活や本国での状況により、必要書類は異なりますので、申し込み後にご案内いたします。

4.依頼者から適宜必要書類をお預かりしながら、当事務所にて申請書を作成します。また、外国語の文書については日本語訳も作成いたします(※言語によってはお客様で手配していただく場合もありますのでご了承ください)。

5.準備が整いましたら、当事務所にお越しいただき、申請書の内容をご確認いただきます。間違いがないかどうか確認されましたら、申請書にサインをいただきます。お客様には報酬額の残金をお支払いいただきます。

6.入国管理局に同行し、難民認定申請をいたします。

7.その後結果が出るまで、出頭や追加書類などが求められた場合もサポートいたします(結果が出るまでは数か月以上かかります)。

8.難民認定(もしくは不認定)

※当事務所は行政処分に不服がある場合、行政処分不服申立代理ができる特定行政書士が在籍しております。難民認定が不認定の場合、処分に納得がいかない場合は、代理で不服申立手続きをとることが可能です。

 

難民申請手続に関する必要費用

 

上記のように、難民認定手続きは決して簡単な手続きではありませんから、多大な労力、時間がかかります。

ただ、難民認定申請は人道的な問題でもあることから、下記の基本報酬をもとにして、お客様の状況に応じて、報酬額や支払い方法、支払時期などについて、過分な負担にならないよう相談に応じます。

 

難民認定申請書類作成業務報酬 19万円(税別)

 

 

難民認定申請に関するお問合せは・・・

TEL:06-6375-2313(※相談予約制/5400円・30分)

フロンティア総合国際法務事務所 まで!